イースター島
スカイマークの機内誌「空の足跡」に毎月連載している旅エッセイ「ユウキが行く。」。
6月号のテーマは「花」でした。
僕は、世界一周の中で訪れたイースター島での思い出を綴りました。
宿のこと、出会った人たちのこと、リラックス効果、そして、心の変化について。
楽園
その中で一番言いたかったことは、次の文章に集約されています。
「考えてみれば、僕たちはいつも何かを逃し続け、同時に何かと出会い続けている。しかもその因果の流れに終わりはなく、死ぬまで『塞翁が馬』の繰り返し。『なんでも思ったとおりになるのがいい人生というわけではない』。そんな想いを、島での日々がじっくり醸成してくれた」。
毎月、同じようなことを繰り返し書いているような気もしますが、僕にとってはとても重要な気づき。
しかも、いろんな角度から、重層的に経験することで、心に深く、強く定着していった想い。
だから、いろんな角度から、繰り返し伝えたくなるのかもしれません。
空腹があるから満腹がある。
寒さがあるから暖かさがある。
闇があるから光を知り、悲しみがあるから喜びを知る。
何一つ無駄はなく、全て「いい経験」でしかない。
人生をそのように捉えることで、変な緊張感が解け、呼吸が深くなる。
そして、身の回りにあるさまざまなモノに対して、慈しみを持って愛でる気持ちが生まれる。
今、生きているこの場所こそが、無二の楽園なんだ。そう感じられて、ジーンと来る。
もっとも、耐え難い苦しみの渦中にあると想像できないでしょう。けれど、こんなふうに心の底から感じられるという「ある種の奇跡」が、現実に起こるのです。
それを、生きること自体に苦しんでいた子供の頃の自分に、優しく伝えてあげたいと思います。