毎月、スカイマークの機内誌「空の足跡」に旅エッセイ「ユウキが行く。」を書いています。
元プロ野球選手の高森勇旗さんと二人で書いており、毎回、スカイマークさんからテーマが出されます。
2024年6月号のお題は、「好きな遺跡」。
僕は、「ヒエラポリス遺跡の愉しみ」というタイトルで書きました。

タイムスリップ感

ヒエラポリス遺跡は、トルコ西部にある都市遺跡です。
ヘレニズム時代からローマ帝国時代を経て14世紀まで、温泉保養地や宗教都市として栄えていた場所です。

そのエッセイに書いたとおり、僕にとって、古代遺跡の最大の愉しみは、タイムスリップ感です。
その遺跡が実際に栄えていた時代にタイムスリップして、自分もその中にいるような夢想に浸る感覚。

世界一周の旅の中で、それを最初に感じたのは、カンボジアのアンコールワット遺跡でした。
そこで感じた感情は、孤独や悲しみ。なんとも切ない気持ちでした。

ヨルダンのペトラ遺跡、エジプトの古墳群、そしてトルコのヒエラポリス遺跡などでも、タイムスリップ感を味わいました。
しかし、特に印象深かったのは、ペルーのクスコ近郊にあるサクサイワマン遺跡でした。
ここで感じた感情は、喜び、幸福感。とても嬉しい気持ちになりました。

過去世

もし、自分の魂がその時代、その場所にいて、そういう感情を味わっていたのだとしたら。そんな空想をするだけでも、なんだか豊かな気持ちになります。

魂の生まれ変わりが、あるのかないのか、本当のところは分かりません。
でも、それがあると考えるのは、結構面白いと思います。
とりわけ、出会っている人について、「この人とは過去世でもご縁があった」と考え、今の出会いをかけがえのない大切なものとして捉えることは、人生をより豊かにしてくれると思います。
また、何か辛いことや思うようにいかないことがあったときに、今の自分を責めるのではなく、過去世に原因を求めることで、気持ちが少し楽になるケースもあると思います。

しかし、逆に、「過去世の因縁があるからこうなんだ」と決めつけることは、余計な思い込みや囚われを強め、現在の可能性を狭めてしまうことにもつながるので、やめた方がいいと感じています。
自分の直感で腹落ちしたことなら、いつでも修正可能なのでまだマシですが、誰か「見える」人から言われたことを鵜呑みにするのは、ちょっと残念な気がします。