2023年も2月になりました。スカイマークの機内誌「空の足跡」。昨年からその取材撮影の一部と旅エッセイの執筆を担当させていただいています。2月号の特集記事は、「札幌市市制100周年記念〜さっぽろ雪まつり」。そして、2月号の旅エッセイのテーマは「芸術」です。
特集記事の取材
2月号の特集は「札幌市制100周年記念〜さっぽろ雪まつり」。
雪まつりについては、さっぽろ雪まつり実行委員会事務局のほか、毎回見事な大雪像を製作している陸上自衛隊の真駒内駐屯地を取材しました。
さっぽろ雪まつり
北海道は僕の故郷。雪まつりは、子供の頃から毎年のように見に行った冬の風物詩でした。その舞台裏をお聞きすることができて、とても興味深かったです。
個人的には、陸上自衛隊の取材の中で、駐屯地内の資料館を見学できたのも、大収穫でした。
そこでは、リアルな「ゴールデンカムイ」の世界を見ることができます。漫画ファンの間では、知る人ぞ知る見学スポットになっているようです。
また、見学の中で、樋口季一郎陸軍中将のエピソードを知ることができたのも感慨深いことでした。
樋口中将は、太平洋戦争終結時、千島列島北端の占守島に侵攻したソ連軍に対する戦闘を指揮した方です。これは終戦のどさくさに紛れて北海道まで占領してしまおうとするソ連の野望を見抜き、大本営の停戦命令に反して行った異例の戦闘でした。しかしこのおかげでソ連軍の侵略が遅れ、北海道を奪われずに済んだそうです。
僕の母は戦後に北海道へ移り住み、そこで父と出会い、僕が生まれました。
ですから、樋口中将の決断と占守島の戦いがなければ、僕はこの世に存在しなかったわけです。
定山渓温泉、豊平峡温泉
取材の話に戻りますが、「雪まつりの後は温泉」ということで、千歳空港支店旅客係員体験レポートとして、定山渓観光協会、定山渓万世閣ホテルミリオーネ、定山渓温泉ホテルの本館ホテル鹿の湯・別館花もみじ、そして豊平峡温泉を訪問して取材しました。
ちなみに豊平峡温泉は、温泉大好き人間の僕の中でも最上位クラスに位置する良質な温泉の一つ。貴重な100%源泉掛け流しの本物です。ここへ行くなら名物のカレーも欠かせません。そんな地元自慢のスポットを紹介する取材ができたのは、とても嬉しいことでした。
旅エッセイの執筆〜芸術について
毎月、出されたテーマについて執筆している旅エッセイ「ユウキが行く。」
2月のテーマは「芸術」でした。
最初は、世界の美術館のことについて書こうかとも思いました。ロシアのサンクト・ペテルブルクにあるエルミタージュ美術館をはじめとして、感動した場所がいくつかあったからです。
しかし、ありきたりの観光情報とその感想になりそうだったので、やめました。
代わりに、僕が「美」に目覚めた体験について書くことにしました。これはとても個人的で内面的な内容ですが、その分、オリジナリティは高いです。
芸術に目覚める前
エッセイの中でも触れましたが、検察の仕事をしていた当時、僕は芸術に目覚めていませんでした。論理、正義、真実といったものが中心テーマで、左脳、思考の世界に偏っていました。芸術的なことにも関心はありました。音楽、舞台、絵画などを鑑賞するのも好きでした。でも、それらは、余暇の「娯楽」、疲れた時の「癒し」に過ぎませんでした。人生そのもの、あるいは人生の重要な一部ではなかったのです。
右脳と左脳、感情と思考など、バランスの取れた人であれば、両方をうまく使い分けられるのでしょう。でも僕には、それができなかった。なので、左脳、思考の世界を捨ててから、ようやく本物の「美」を感じるようになってきました。
芸術の豊かさ
何を美しいと感じるかは人それぞれ。とすれば、あらゆるものの中に、美しさが潜んでいるとも言えます。美しいと感じる瞬間って、魂が喜んでいる感じがします。美しさを感じる場面が増えることは、すなわち喜びが増えること。美しさを深く感じられるほどに、生きる喜びが深まる。芸術というのは、決して「不要不急」のおまけではないのだということが、わかってきました。
50歳からの芸術への目覚め。反対側の暗闇を体験したからこそ、目覚めた後の明るさが身に沁みる。バランスは悪かったかもしれないけれど、結果的に両方を深く体験できるのは、とてもありがたいこと。人生が豊かになったと、この人生の旅路に感謝しています。